こんにちは。
鹿児島で遺品整理の会社「整理のゴダイ」を運営している松本です。
なかなか目にすることの少ない遺品整理の求人、どうやって探せばいいか難しいですよね。
探し方以外にも
・どんな仕事なのかイメージしづらい。
・待遇はどうなんだろうか?
・具体的にどんな資格や能力があれば役立つのか。
と言ったこと疑問があると思います。
そこで、遺品整理業の会社を運営して7年、さらに全国各地に同業者の知り合いがいる私だからこそ知っている情報をお伝えします。
仕事探しに実際に役立つ情報を掲載していますので、どうぞ最後までおつきあいください。
それではまいりましょう。
遺品整理ってどんな仕事?
具体的な求人の探し方に入る前に、簡単に遺品整理の仕事について触れたいと思います。
遺品整理とは、人が亡くなって空き家になったあとの片付けをするお仕事です。
その内容は、ご遺族がまだ探しきれていない「貴重品」や「思い出のお品」の捜索、つまり形見分けのお手伝い。
さらに、ご遺族が要らない物を「中古品として再版する」または「廃棄物として処分する」仕事です。
お客様に代わって『貴重品や写真などを捜索する形見分け』を行うのはもちろん大事な作業です。
ただ、私個人としては、どちらかというと『本当に要らないもの(特に捨てづらいもの)を全て処理して、家を早く活用(もしくは退去)したい』というお客様のご希望に迅速に対応することが求められているように思います。
なぜなら、多くの場合は貴重品は少なくとも一度は親戚間で目を通して、ご自身の中である程度納得した上で業者に依頼するからです。
※それでも十分に聞き出しの上、慎重に作業を進める必要はありますが。
遺品整理の作業は以下のような流れとなります。
現場作業の平均的な1日の流れは
8:00~ 出社
8:20 ~ トラックで現地へ移動
9:00 ~ 作業開始(遺品の選別、分別作業) 並行して運び出し
12:00~ 昼休憩(1時間)
~15:00 運び出し完了
~16:00 トラックで事務所(倉庫)へ移動し到着
~17:00 荷下ろしや次の日の準備を実施
となります。
現場がない日や、倉庫に残る日があれば「処分困難品の処理」を実施。
スプレー缶の穴あけたり、中身の入った調味料などの中身だしなどを行います。
繁忙期は3月~5月、それと8月で、この時期は残業が多くなるでしょう。
(会社によりますが月30時間前後が一般的)
ただ、遺品整理だけを行っている会社は少なく、関連するサービスを提供している場合がほとんどです。
《組み合わせ例》
● 遺品整理+リサイクルショップ
● 遺品整理+ハウスクリーニング
● 遺品整理+特殊清掃
● 遺品整理+軽運送・引越業
● 遺品整理+便利屋業(草刈りや害虫駆除、リフォームな度を行うなんでも屋さん)
今回は遺品整理をメイン業務として行っている会社の探し方、仕事内容についてお伝えしたいと思います。
人が亡くなったあとの片付けを遺品整理だとすると、大きく分けると特殊清掃も遺品整理の一部といえます。
この大きな違いは「家の修復作業が必要かどうか」という点で切り分けができます。
自宅で亡くなり、血痕や体液で修繕が必要な場合を特殊清掃と呼びます。
特殊清掃は消臭技術やリフォームの知識、さらには血や臭いに耐性があることが必須。
なので、遺品整理業者の中でも特殊清掃を行えるかどうか分かれます。
(遺品整理業者の内、約40%は特殊清掃も行っています)
遺品整理の求人の見つけ方
それでは本題に入ります。
情報が少ない遺品整理の求人をどのよう探せばいいか。
その答えはズバリ「ネット検索」です。
なぜ、ネット検索が有効かという遺品整理業者のほとんどは集客をネットに頼っているからです。
遺品整理のサービスエリアは広域に展開し、かつニッチな需要に応える必要があります。
つまりダイレクトメールやポスティングよりもネット集客の方が親和性が高いのです。
逆に言うと、ネットに弱い会社は生き残れない。
そんなインターネットを軸に集客を行う遺品整理業者、求人も同様にネットで行うことが多いようです。
《具体的な検索方法1》
ここからは具体的にどのように検索すれば有効な求人を見つけることができるかお伝えします。
検索キーワードは『遺品整理 求人 ○○(地域名)』で検索するといいでしょう。
ここでのコツは
➁ 地域名はまずは広域(都道府県)で探す
です。
➀公開中の新しい情報だけを絞り込んで検索する方法
こちらはスマートフォンで1年以内に公開または更新された情報に絞り込んでGoogle検索する方法です。
このように期間を限定して検索する事で比較的新しい求人情報を得ることができます。
思った情報が見つからない時はハローワークに掲載されている情報を探してみるといいでしょう。
《具体的な検索方法2》
https://www.hellowork.careers/
ハローワーク求人情報(民間の会社)
こちらは職業安定所の公式サイトではありませんが、同じ情報を転載しているサイトとなります。
公式サイトではできない「キーワード検索」ができるので効率よく探すのにおススメです。
以下、操作手順を紹介します。
このように操作すれば、横浜の遺品整理に関するハローワーク求人のみを探すことができます。
ハローワークの求人は原則、労働基準法に沿った形で掲載されています。
なので、求人情報と待遇の差が少ない傾向にあります。
(ただ、それでも書いてある条件と違った・・・と言うことはそれなりにあります)
ハローワーク以外の求人は、待遇の記載基準が会社によってバラバラです。
一見すると好待遇に見えても実際の手取りは少なかった、と言うこともあるので「基準が統一されていない」という点は気をつけましょう。
実際の待遇は?
遺品整理というと「人が嫌がる仕事で給料がよさそう」と思っている人も多いかもしれません。
では、実際のところはどうなんでしょうか?
私が知っている業界の給与水準だと
社員 | アルバイト | |
---|---|---|
3大都市圏 |
月給18~35万(平均28万)
|
時給900~1,500円(平均1,100円)
|
その他の地域 |
月給16~32万(平均24万)
|
時給800~1,300円(平均1,000円)
|
といった感じです。
この数字は全国から遺品整理業者が200社ほど集まる懇親会の中で、遺品整理を運営する方と話した情報。
また、実際に出ている求人票をもとに算出したものです。
社員はボーナスがなし、もしくは寸志程度(5~10万円)のところが多いようです。
年収にして250~400万前後。
こうしてみると世間で思われているほど待遇がいいとは言えないかと思います。
《ごみ屋敷清掃会社や特殊清掃の待遇は?》
遺品整理業者の中には、特殊清掃やごみ屋敷を専門とする会社もあります。
たとえばごみ屋敷を中心に作業を実施していて、YouTubeでも有名な愛知の「片付けトントン」さん。
知名度もあり、依頼が多い、その上YouTubeでの露出が多いトントンさんでも
・月給18~25万
・年間休日105日
と遺品整理を中心とする業者とほとんど変わりませんです。
また、孤独死現場を扱う特殊清掃に特化している会社もほぼ同じ水準だと聞いています。
補足として、特殊清掃に関しては一人親方として開業して、専門性を突き詰めて高収入を得ている人もいます。
そうしたところは、そもそも求人を出すことはない、もしくは即戦力として専門性の高い人を必要とするといった特殊なケースになるかと思います。
求められる人材
遺品整理に求められる人材は一言で言えばズバリ、「常識と清潔感と気配りを備えた体力がある人」です。
営業実態が見えにくい訪問型のビジネスなので、いかに安心感を与えて誠実に仕事をこなすことができるかが求められます。
お客様の不安を先回りして解消するために、会社によってはホームページに顔と名前を出すように言われるかもしれません。
誰もがネット上に顔と名前を載せるのは嫌だと思いますが、訪問型ビジネスという特性を考えると仕方がないと割り切れる心構えが必要です。
(すべての遺品整理業者が顔や名前を掲載しているわけではありませんが、顔出しは増加傾向です)
仕事内容
遺品を扱うのでデリケートな仕事のイメージがあるかと思います。
たしかにそうした側面もありますが、一方で大量の家財を運び出す必要もあります。
一戸建てや分譲マンションの片付けの場合、2,000~4,000kgもの家財を分別し運搬する必要があります。
ちょっと量をイメージしづらいかと思いますが、ひとり暮らしの家財一式が約300kgなので比較すると約7~14倍。
この量を2日前後で完了させる必要があるので体力は必須です。
ご遺族の気持ちをくみ取る事はとても大事ですが、併せて力仕事をしつつも気遣いができる余裕があるほどの体力も必要です。
(約250kgあるアップライトピアノを運び出す様子)
また、ニッチな需要に応える遺品整理業者はどこも小さな会社ばかりです。
現場では1人何役もこなす必要があります。
役割はだいたい以下の通りです。
社員 | 集客・営業活動、訪問見積もり、トラックの運転、現場養生、 遺品の選別・分別、顧客対応 |
---|---|
アルバイト | 家財の運び出し、トラックへの積み込み |
どの立ち位置であっても、基本的には力仕事をこなす必要があるのでどちらかというと男性のほうが向いているかもしれません。
ただ、引越と違うのは運び出す家財の多くは廃棄することになるので分割して運ぶことができる点です。
つまり、時間さえかければ一度に運ぶ量を減らして重量を軽くすることができます。
遺品整理の現場で働く約2割は女性です。(整理のゴダイしらべ)
女性ならではの気配りや、柔らかい印象が重宝されるケースもあるので、女性の応募を歓迎してる会社もあります。
必要な資格
遺品整理の会社で働く上であったほうがいい資格や許可があります。
有った方がいい | 有れば少し役に立つ | |
---|---|---|
会社 | 一般廃棄物収集運搬許可(市町村) 古物商許可(警察) |
産業廃棄物集取運搬許可(都道府県) 自転車防犯登録所(警察)※解除も可能 |
社員 | 自動車免許 ※MT対応(国家資格) 中型自動車免許 ※MT対応(国家資格) |
遺品整理関連の資格(民間会社) |
アルバイト | 自動車免許 | 遺品整理関連の資格(民間会社) |
()は許認可団体
簡単にそれぞれの資格等について紹介します。
【会社】
一般廃棄物集取運搬許可
遺品整理で扱う家財のほとんどは産業廃棄物ではなく一般廃棄物です。
■ 一般家庭から出る廃棄物の区分
・産業廃棄物:建物に付随する物(作り付けの家具、ふすまや障子などの建具、コンクリートブロックなど)
一般廃棄物を処分するには各市町村が発行する『一般廃棄物集取運搬許可』というものが必要です。
ただ、ゴミの収集は公共サービスの側面が強いので、許可業者が増えて競争の原理が働き安定したサービスを提供できなくなることが懸念されているようです。
なので取得しようと思っても、既存許可業者で事足りるとして新規許可を発行していない自治体がほとんどです。
遺品整理は比較的新しいサービスなので一般廃棄物集取運搬許可を取得できていない会社も多く存在します。
そこで、分別までを遺品整理業者が行って、その後一般廃棄物許可業者に収集を委託するケースが多いようです。
古物商許可
再販を目的として家財を回収、買取または回収する場合は警察が発行する『古物商許可』が必要となります。
反社会勢力や前科がある場合を除けば発行されるケースがほとんどです。
産業廃棄物集取運搬許可
一般廃棄物以外にも庭や物置に積まれた瓦やコンクリートブロックの回収を依頼されるケースも多々あります。
建物に関連する物は産業廃棄物なので許可があると回収がスムーズでお客様に喜んでもらえます。
自転車防犯登録所
防犯登録が残ったままの自転車を引き取る際にあると便利です。
ワンストップで登録の解除を行うことができるようになります。
【社員・アルバイト】
中型自動車免許 ※MT対応(国家資格)
社員であれば運転免許証はほぼ必須、アルバイトであっても場合によっては運転する必要が出てくるでしょう。
必要な免許証の種類は普通自動車免許、そして中型免許まであれば尚いいでしょう。
遺品整理の現場でメインとなるトラックは2トントラックです。
現行の運転免許だと「準中型(車体総重量7.5トン未満)」を持っていれば大丈夫です。
近年ではATのトラックを使用する遺品整理業者も増えてきましたが、トラックはまだまだMT車も多いです。
応募したい会社がどのようなトラックを持っているかによりますが、やはりMT対応の免許が有利です。
地域によってはより大きな最大4トントラックまで保有している会社もありますので、中型免許(車体総重量7.5トン未満)まであると重宝されます。
遺品整理のトラックは住宅地の中まで入っていく必要がありますので、それ以上大きな10トントラックなどで必要な大型トラック免許までは要らないでしょう。
免許の取得時期によっては現在は中型免許に区分される総重量8トン未満も運転できる場合があります。
免許証の記載箇所で確認ができます。
(平成19年6月以前に免許証を取得していれば総重量8トン未満まで対応しており、いわゆる4トントラックまで運転できる)
遺品整理関連の民間資格
遺品整理に関連する民間資格がいくつかあります。
民間資格なので、新たにできる業務が増えるわけではありません。
遺品整理業者が民間資格を強調しているケースも見られますが、箔付けの意味合いが強いかと思います。
この記事で紹介してきた資格または許認可は国や行政が発行するものです。
ただ、それだけだと「遺品整理」のイメージに資格がないので専門性を打ち出しづらいのです。
だからこそ、民間資格であっても遺品整理関連の資格を持っていると専門家のような印象を与えることができる場合があります。
なので会社によっては民間資格の取得を推進している会社もあります。
ただ、なくても実務に影響は特にありません。
同業者間の情報共有といった意味では民間資格を取り、懇親会などに参加することは有益かと思います。
給料を上げるには
ここまでお話ししてきた中で、遺品整理の仕事で好待遇を得ることはできるのだろうか?という疑問が沸くかと思います。
有効な許可や資格を取ることは大事ですが、それでも給料に大きく反映されるほどではありません。
それでは、給料を上げるためにはどのようなことをすればいいのでしょうか?
答えは「多くの仕事を成約できる営業能力」です。
➁ 遺品整理の情報が集まる相続に強い弁護士や不動産などへの営業
のどちらかで会社の業績を伸ばすことができれば歩合要素で給料が上がる事があるでしょう。
遺品整理業の経営者が数多く集まる懇親会で、私は色々な方に集客について聞いてみました。
どこの会社も集客はほぼインターネットに頼っているということだったので、➀のスキルがあればより良い待遇になるはずです。
一方、「ポスティングやダイレクトメールといったプッシュ型の営業活動はあまり効果的でなかった」というのがほとんどの経営者の意見でした。
なぜかというと、乱暴な言い方をすると遺品整理は時間さえあればある程度、お客様自身でもできるニッチな需要。
それを業者に頼もうという人が「たまたまポスティングを行ったエリアにいる」可能性は低いと言うことでしょう。
作業に関しては、厳しい言い方をすればトラックの運転や体力を使う作業はできて当たり前の業界です。
いかに仕事を獲得できるかが給料の分かれ道とも言えます。
ここでいう仕事の獲得とは、「訪問見積もりの成約率」ではなく「問い合わせ件数を増やす事」です。
それ以外にも、中長期的にみたときには、力仕事以外に「どれだけお客様に先回りした気配りができるか」ということはとても大事なことです。
細部までこだわったサービスを提供し続け、お客様に満足いただくことが会社の存続や業績の向上につながる。
それが巡って待遇へ反映されることになるでしょう。
遺品整理業者は小さな会社が多いので、業績が待遇に反映される度合いが大きいことはよくあります。
さいごに
いかがでしたか?
ほとんどの方にとって、あまりなじみのない遺品整理の仕事について遺品整理業を運営している視点からお伝えしてみました。
現実的なお話をしたので、中には少しがっかりした方もいるかと思います。
遺品整理は「本当に困っている人が頼むサービス」です。
依頼する理由はさまざまですが、遺品整理が無事終わったらとても安堵して感謝されます。
お客様の長年抱えているお悩みを解決して一歩前に進めるようにする。
そんな仕事にやりがいを感じる人は多いのではないのでしょうか?
私もその中のひとりです。
遺品整理の市場規模はさほど大きくないため、探しているタイミングで求人が出ていることは少ないかもしれません。
それでも「この仕事にやりがいを感じられそうだ」とお考えであれば粘り強く探せばきっと見つかると思います。
もし、この業界に進みたいという方がいれば、素敵な遺品整理の求人と巡り会えることをを願っています。
興味がある方にとって、こちらのページを見ることでより具体的な仕事のイメージが膨らむと思います。
この記事を書いた人

鹿児島県出身。2013年、27歳で五代を創業。「整理のゴダイ」にて遺品整理・不用品回収サービスを展開している。鹿児島県を中心に延べ2,400件、2018年は年間800件の作業実績。モットーは “わかりにくい遺品整理のサービス・料金をどこよりもわかりやすく提供すること”